セオリー・オブ・チェンジ(変化の理論)
JIBESは、真の『共生社会の実装』をビジョンに掲げています。
SDGsが提唱され、持続可能な社会の実現に向けて、『共生社会』という言葉を耳にすることが増えまました。
共生社会に欠かせない概念として、『社会モデル』があります。
JIBESがいかに『共生社会』を捉え、『共生社会の実装』を実現しようとしているか下図のセオリー・オブ・チェンジ(変化の理論)の概念図に基づきご説明します。
海外で暮らす、あなたとその家族をイメージしてみてください。
母国で暮らすのとは異なり、さまざまなバリア(障壁)があることにお気づきになります。
さて、どのようなバリア(障壁)があるでしょうか。
「言葉が通じない。」と答える人がおられるかもしれません。
「言葉は通じるけど、雇用契約の締結方法がわからない。」や「緊急時の行政サポートが受けられない。」と答える人もおられるかもしれません。
「宗教上で口に入れることのできない食べ物を判断する記載がない。」といったお答えもあるかもしれません。
イメージされたバリア(障壁)の中には、言語的要素が多くあるかとは思いますが、何らかのシチェーションが合わさって発生しているものがあるのではないでしょうか。
例えば、日常会話は可能であっても行政手続きや契約が求められる状況でバリア(障壁)が発生したり、制度や文化などのルールに基づく表示や掲示においてもバリア(障壁)にぶつかる場合があります。
緊急時や災害時などは、現地での長い教育と文化の中で身につくものがありますので、突然に災害に見舞われた際は生命の危機も脅かされます。
このように考えると、その人のもつ制約条件である言語や経験がバリア(障壁)と捉えられがちですが、決してそうでないことがわかります。
”内容物が判断できない食品”や”言語機能を介さず判断できる表示や掲示”、”緊急時の生命保持の担保”など、社会の環境のあり方・仕組みがバリア(障壁)を作り出していますね。
このバリア(障壁)の捉え方が、”社会モデル”という考え方です。
社会的バリア(障壁)とは
社会的バリア(障壁)は、マイノリティを意図的に排除しようとして生まれたものではありません。
マイノリティを考慮していない、もしくはマジョリティのみ優遇されていることを意識していないためにできています。
共生社会の実現のためには、多様性を受容し、日常に“当たり前”にバリア(障壁)を感じている人がいることを感じ取ることから始まります。
簡単なことです。
バリアタイプ | 内容 | 説明 |
---|---|---|
物理的なバリア | 施設や設備などによる障壁 | 駅などの公共交通機関、道路、建物などで移動や動作を行う際に支障を生じさせる 階段しかない入口、性別配慮のないトイレ、右手でしか使えないはさみなど |
制度的なバリア | ルールや条件などによる障壁 | 社会のルールや制度、条件が整っていない、または認知されていないことによって、平等な機会を与えられない 同意者を求める契約、日本語のみの手続き書など |
文化・情報面でのバリア | 明文化されていないがマジョリティが従うしきたり、情報提供など | 情報の伝え方が限られているなど、必要な情報を十分に得られない 緊急時のアナウンスは日本語のみ、注意喚起は赤色を使う、視覚でしか分からない署名・印鑑の慣習など |
意識上のバリア | 無知、偏見、無関心など | 無関心や過剰な扱い、偏見や差別など “こうあるべきだ”、“~できるはずがない”、“かわいそう”など |
マイノリティを考慮できていない社会がバリアを生み出す!
心のバリアフリー
“心のバリアフリー”と聞くと、“思いやる” “助ける” “交流する”などといった、慈善的、チャリティ精神に近い意味合いで使われていることが多くありました。
しかし、何故、バリア(障壁)が生まれるのかという社会の仕組みや文化などの観点から考えなければ、心のバリアフリーは部分的なものになってしまうでしょう。
マイノリティへの社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという『社会モデル』を理解しなければなりません。
自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うことが求められています。
共生社会に向けて
現代の社会は、多様な人が同じ社会に暮らしています。
その意味では既に“共生社会”のはずですが、まだまだマイノリティには生きづらい社会となっています。
その原因が個々人の特性ではなく、社会の作りにあることを考えなければ本当の意味での共生社会にはなりえません。
昨今、多くのオリンピックやLGBTなど社会的な動向もあり、さまざまな団体が活動を行い、より豊かな共生社会に向けて動き出しています。
JIBESは、専門性が大切だと考えています。
マイノリティにはさまざまな種類があり、国籍、言語、文化、風習、宗教、性別、年齢、能力など当事者でないとマジョリティはそのバリア(障壁)に気づくこともできないかもしれません。
多様な当事者団体や関係団体の活動が活発化される中、それを受容できる社会体制も整いつつあります。
私たちは、長年の経験と関係性から日本とインドネシア間において専門性を持ち、このバリア(障壁)に立ち向かっていきたいと考えています。
『社会モデル』の考え方が身につけば、実は自分たちにこれまで意識していなかった前提条件や無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)を持っていることに気づくことができます。
これは、これまでのあり方を見直し、新しい価値を作り出すイノベーションのきっかけにもなります。
変化が激しく、ITなどにより全世界から多様な価値や人が入ってくる現代では、いつまでも同じ考え方では時代が求める価値を提供することは難しいと言えます。
常に自分たちの前提条件や固定観念を見直しつづけることが大切で、そのようなときに社会モデルの考えが活きていきます。
事業者の努力や合理的配慮が求められますが、それはネガティブな要素でもコストデメリットでもありません。
JIBESは、誰かの不利益によって、他の誰かのバリア(障壁)を解決できる社会を評価していません。
JIBESは、あらゆる「ちがい」を超えて、誰もが他の人を支え、その人がさらに誰かを支える、相互に作用しあう暮らしやすい共生社会を創りたいと考えています。
誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会、それが『共生社会』です。
あらゆる「ちがい」があることを認め、
すべての人の生活する権利が平等に与えられている社会へ
社会モデルとは