インドネシアには、財閥が存在しています。

日本でもそうですが、財閥グループが経済的に大きな力を持っています。財閥がその国の経済活動の中心を支えていることは珍しくありませんが、インドネシアの財閥について詳しい人はほとんどいません。 日本でも自国の財閥の歴史を事細かに知っている人は少ないでしょう。

インドネシアなら尚更です。 そこで今回は、財閥とは一体何なのか解説した上で、インドネシアの経済を動かしている財閥について詳しく解説します。

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そもそも財閥って何?

財閥とは、わかりやすく言えば、とある人が事業を起こして軌道に乗ってお金持ちになった後、他の事業でも成功して創業者の一族が経営などを行っているような人々です。

財閥の特徴は、国家の経済活動にも関係するほどの経済力や経営力を持っていることです。 たとえば、日本では4大財閥と呼ばれる、三井・三菱・住友・安田が大きな力を持ってきました。特に明治維新後は金融業を行い力を増大させましたが、GHQに解体させられています。

その後は、各財閥の企業のみ残っています。 そのため、現在でも高い経済力を持つくらい影響力が高いのが財閥です。どういった企業がインドネシアにあるのか詳しくみてみましょう。

インドネシアにある財閥

インドネシアの財閥には以下のようなものがあります。

  • サリムグループ(Salim Group)
  • アストラ・インターナショナル (Astra International)
  • シナルマスグループ (Sinar Mas Group)
  • ジャルムグループ (Djarum Group)
  • リッポーグループ (Lippo Group)
  • グダンガラム (Gudang Garam)
  • ロイヤルゴールデンイーグル (Royal Golden Eagle)
  • バリトーパシフィック (Barito Pacific)
  • バクリーグループ (Bakrie Group)

インドネシアにおいて、複数の国を跨いでビジネスを行っているような巨大な企業や財閥は約30ほどあると言われています。

馬上幸夫の「インドネシアにおける財閥構造の分析―スハルト元インドネシア大統領の関与した財閥を中心に―」によると、そうした30ほどの企業の売り上げは約150兆ルピアですが、そのうち90兆ルピアは上位5社の中華系財閥が占めています。

上位5社の概要

サリムグループ(Salim Group)

サリムグループは、スドノ・サリムによって1972年に創立されました。

ITやインフラなどといった事業に力を入れています。また、有名なバンク・セントラル・アジアを設立したことでも知られており、インドネシアの歴史とともに歩んできました。特に1970年代のスハルト大統領時代に力を伸ばしています。

アストラ・インターナショナル (Astra International)

アストラ・インターナショナルはウィリアム・スリヤジャヤによって、1957年に設立されました。

金融機関やパーム油といった産業に進出しており、特に自動車を生産して販売を行うことで成長を遂げてきました。

シナルマスグループ (Sinar Mas Group)

シナルマスグループは、エカ・チプタ・ウィジャヤによって1960年代に創業されました。

もともとはパーム油を扱っていましたが、農園や製紙業に進出して大きなグループとなりました。特に製紙業は強みですが、昨今の環境への意識の高まりが逆風になっています。

ジャルムグループ (Djarum Group)

ジャルムグループはマイケル・バンバン・ハルトノと、ロバート・ブディ・ハルトノという兄弟によって1951年に設立されたタバコ会社がもとになっています。

そして、ジャルムグループはホテルや不動産、エレクトロニクスといった分野にも進出してより大きくなります。ちなみにグランドインドネシアという最大級のショッピングモールとバンク・セントラル・アジアの経営権を持っていることも存在感がある理由のひとつです。

リッポーグループ (Lippo Group)

リッポーグループはモフタル・リアディによって1950年に設立されました。

当時から金融事業を行っていましたが、不動産開発や小売、ITなどにも進出します。 特に不動産事業は大きな売り上げと純利益を出しているのが強みです。

インドネシア経済と財閥の歴史

インドネシアには19世紀後半に、中国大陸からインドネシアに移民してきて商売を行う人が増えました。

そして、スハルト大統領時代(1968年〜1998年)に開発独裁が行われその中で華人を中心とする財閥は経済的に大きな力をつけるようになります。たとえばアストラグループは自動車、シナルマスグループは製紙業というように強みを作りました。

その後、1997年にアジア通貨危機が発生してスハルト政権は倒され、インドネシア経済も悪化します。しかし、その危機から政府の救済を受けたり、事業の再編を行ったりするなどしてインドネシア経済全体も立ち直ります。

また、財閥グループも様々な事業に乗り出して、新しい分野でも成功してより一層巨大な企業グループになりました。

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まとめ

今回は財閥とは何かと解説するとともに、インドネシアにある財閥、それから財閥とインドネシア経済の歴史について解説しました。

華人が設立した財閥グループが大きな経済力と影響力を持っているのがインドネシアの特徴です。

ぜひ参考にしてみてください。