インドネシアは、驚くほどの多種多様な生命が共存しており、大小様々な島から成る国です。天然資源に恵まれ、異国情緒溢れる自然の景色と、その文化と多種多様な民族種族は、経済、政治、社会文化と観光の視点からも、人々を惹きつける独自の魅力を持っています。

インドネシアが観光、移住、出資いずれの目的にせよ、訪れたい、と人々に思わせてしまう不思議なパワーを持っていたとしても決して不思議ではありません。

それでは、インドネシアにはどのような人々が暮らしているのでしょうか。インドネシアの人々は社交的ということで有名です。しかしその一方で、インドネシアの人々は、赤道に面したユニークな国の特徴として「特別な」性格を持っています。サバン(アチェ州)からメラウケ(パプア州)まで、インドネシアの人々は、それぞれ異なる性格を持つ、様々な民族種族から成り立っています。

これほど多種多様であっても、インドネシアの人々は他の国の人々にはない特徴を持っています。このインドネシアの人々の特徴から、一般的なインドネシアの人々の人間性を伺い知る事ができます。

今回はインドネシアの人々の性格や人間性についてご紹介させて頂きます。

ビジネスで役立つ インドネシア人の国民性を知る

根本的性格

偽善

(いきなり偽善と言ってしまうと印象が悪いかも知れませんが)主旨とすることは、本心では信じていないのに、信じる振りをしたり、ある宗教の教えに敬虔な振りをするという風に置き換えることができます。また、同じく偽善の特徴として、発言する事と実際の行動が異なる事もあげられます。

またさらに、イスラム教の教えの中には偽善は、嘘をつくこと、約束を破る事、信用を裏切る事、だと説明しています。

好きか嫌いか、さらにそれを認めるからどうかは別として、この性格はインドネシアの人々についてまわります。そこでインドネシアの歴史を遡ってみると、長い年月の間植民地支配されていたことがわかり、その原因の1つとして、多くの偽善者が自分の利益のみしか考えずに、植民地支配者達に加勢したということがあげられます。なぜインドネシアの人々が偽善的になったのでしょうか?それは過去の封建制のシステムが、インドネシアの人々を長い年月の間押さえつけた為、声を出して訴えたい真実の心が鎖に繋がれてしまったからなのです。

こうして、インドネシアの人々は2つの顔を持つようになり、裏表が違う、言葉と心が違う、言行が違う、長いものには巻かれろ、的な性格ができあがったのです。

その事は、いい印象を持った政治家が実際には汚職をしていたり、宗教の教祖が非難されるような行為を行う、という日々のニュースからも知る事ができます。当然ながら、好印象を受けていた一般社会の人々はこういったニュースを聞いて、信じられない、と言って驚きます。

遠慮と 責任感

遠慮せずに物事を行うにも関わらず、その責任は取ろうとしない。これが、2つ目のインドネシアの人々の特徴です。こういった台詞を聞いたことがあるでしょうか。「私には関係ないことです」、 「私に聞かないで下さい」 、「私の間違いではありません」や「私にその事は分かりません」 、 こういった台詞を会社の経営者やましてや一国の指導者には相応しくないですよね。

こういった言葉は現実に、自分自身の発言、命令、決定や政策の間違いについて、間違いを指摘される心構えがない、もしくはそういう状況を最初から避けようといった姿勢の現われなのです。

このインドネシアの人々の性格は現在の社会でも垣間見る事ができます。多くの指導者たちは自分自身の間違いを部下にかぶせたりしています。こういったことは、政府、民間、軍隊社会ではもとより、私的、一般社会まで及んでいます。

つまり、インドネシアの上流階級だけの話ではなく、中流から下層の階級の人々まで及んでいるという事なのです。

また責任転嫁という言葉は、インドネシア社会の中にしっかりと根付いているように思われます。仮に彼らが、採用された決定が功を奏して結果を出したとすると、「それは私がいたからです」と誇らしげに答えるのです。逆に失敗した場合には、「私の間違いではありません」と別の人に責任転嫁を行うのです。

社会システムの影響

封建制精神

封建制度は、政治もしくは社会におけるシステムで、その権限の大部分を上流階級の人々に与えるのが特徴です。封建制度で重んじられる事は、仕事に対する能力よりも、役職・身分です。このシステムがインドネシアの人々に、役職・身分・権力を重んじる性格を与えたといえます。実際に、多くの人々がその欲するままに役職や権力を、どんな手段を用いても手に入れることを認めています。手にした力や権力を使って、弱い立場や弱い人間を押さえつける事は珍しい事ではありません。権力をもった人々は尊敬され、権力を持っていない人々は彼らに頭を下げて、仕えるのです。

さらにこの封建制度の精神は全ての社会において、一切仕事を離れたところでも浸透しています。例をあげると、部下は上司に対して礼儀を尽くすように言われます。しかし、この礼儀は、部下の家族に対しても言われるのです。部下の妻は、上司の妻に対して礼儀を尽すように言われ、部下の子供は上司の子供に対して礼儀を尽くすように言われるのです。

迷信への信仰

インドネシアの伝統文化は、宗教と接触する前は元々アニミズムだったので、迷信を信じる性格が育まれました。インドネシアの人々は、超自然能力を持ったものを強く信仰します。こうした事から、インドネシアの人々がミステリーやオカルトを簡単に信じるのも納得できます。

技術が日々進化してインドネシアの人々もデジタル技術やコンピューター技術に適応できるようになっても、こういう信仰はなくなることはありません。どんなに高い役職についている人でも、どんなに高等な教育を受けている人でも、どんなに最新の生活スタイルを送っている人でも、インドネシアの人々はまだ迷信を信じているのです。

その証拠に、心霊相談を理由に、祈祷相談を開いたり、まじないしだと自称する人々は大勢います。それ以外にも、ミステリーを放送しているテレビ局は少なくありませんし、インドネシアの社会の人々もまたそれを観るのを楽しみにしているのです。

ビジネスで役立つ インドネシア人の国民性を知る

歴史、社会システムの影響を受けて、形成されたインドネシアの人々の国民性、性格をご紹介してきましたが、もちろん全てのインドネシアの人々がこれに該当するわけではありません

冒頭でご紹介したとおり、インドネシアは日本で暮らす人々には想像ができないほど、様々な性格、考え方、風俗、習慣、信仰などをそれぞれ持った種族民族の人々が一緒に暮らしています。

ですので、私たちが実際にインドネシアの人々とビジネスを行っていくうえで大切な事は、今回ご紹介したことを誰にでも当てはめるのではなく、何か困った事や疑問が生じた際に、なぜ相手はそういうことをした(言った)のだろうと自問自答してみましょう。そうすると、相手の行動の理由の根底には、今回ご紹介したことにそのヒントが隠されているかも知れません。