インドネシアの首都はジャカルタからヌサンタラに移転します。
首都が移転することで、今後のビジネス環境も目まぐるしく変化することが予測されます。ビジネスの機能はジャカルタに残したとしても、新しい都市には国の行政が移転するので公的なビジネスは新都市で行われるかもしれません。
そう考えると、首都移転は現地でビジネスを行っている人だけではなく、投資を行っている人にも大きな問題となります。 そこで今回はインドネシアの首都移転に関連して、今後の投資先について考察を行います。
インドネシアの新首都は「ヌサンタラ」
インドネシアでは、2022年1月に議会でインドネシアの首都をジャカルタからヌサンタラに移転するための法案が可決しました。そして、同年3月に新首都を開発する政府機関が立ち上がります。 方針としては、2024年からジャカルタから首都移転を始めて2045年までに首都移転を完了させます。
ヌサンタラの場所は?
ヌサンタラはジャカルタから2000キロほど離れた場所にあります。
インドネシアにはいくつかの島があって、ジャカルタとヌサンタラは別の島です。ジャカルタがあるのはジャワ島で、ヌサンタラがあるのはボルネオ島です。 実はボルネオ島には、マレーシア、ブルネイ、インドネシアという3つの国が存在しています。
そのインドネシア領の中の場所のひとつが、ヌサンタラなのです。 現在のヌサンタラはジャングルです。これから森林を切り開いて新しい都市を作ります。 ちなみに、インドネシアでは、ボルネオ島のことを「ボルネオ島」ではなく「カリマンタン島」と呼んでいます。
一説によると、インドネシアが独立した時に島の名称を「カリマンタン島」としたのでこだわっていると言われています。
ジャカルタから移転する理由
ジャカルタからヌサンタラに首都移転する理由としては以下の3つがあると言われています。
- ジャカルタの人口集中是正
- 地盤沈下リスク
- 地震などの自然災害回避
ジャカルタがあるジャワ島に全人口の半分以上が集まっています。人口密度が高くて、交通渋滞が深刻なのでこちらを是正したい思惑があります。 また、ジャカルタはもともと地盤が低い土地でした。さらに地下水を汲みすぎたことによって、海面よりも低い土地が生まれてました。
そのため、洪水のリスクが高まっています。 そして、インドネシアは自然災害が多い国ですが、ジャカルタのあるジャワ島には大きな断層があります。そのため巨大地震が起きるリスクを少しでも回避するために首都移転を行います。
ヌサンタラに関する投資
ヌサンタラへの投資は政府公認?
インドネシア政府は、ヌサンタラに首都移転することに関連してインドネシアへの投資を呼びかけています。
なぜならヌサンタラに移転するためには日本円で4兆円近い金額が必要であり、費用は外国や民間の投資で賄おうとしているからです。 インドネシア政府が投資を呼びかけているので、投資家からすれば追い風となっています。しかし、その一方でヌサンタラへの投資はやめた方がいいという意見もあります。
ヌサンタラへの投資を見送るべき理由
ヌサンタラ移転に関して、インドネシア国内外から以下のような意見があります。
- 移転費用が無駄遣い
- 森林伐採が環境破壊になる
- 足元の経済政策が優先
ヌサンタラに首都移転する場合にかかる費用は4兆円程度なので、このお金を別のことに使った方がよいのではないか?という声があります。
そして、森林伐採を行うことによって、インドネシアの自然を破壊することになります。そうなると、生態系にも影響を及ぼすことが懸念されています。世界的に環境への意識が高まる中、難しい局面に立たされています。
そして、首都移転が決まってから新型コロナウイルスが蔓延して、そちらの対策が優先されました。コロナで痛んだ経済の回復を優先するべきだという声もあります。
ソフトバンクの動向に注目
ヌサンタラに首都移転が表明された後、ソフトバンクグループの社長である孫正義氏が出資を表明しましたが後に投資を見送りました。 インドネシアへの投資は続ける一方で、ヌサンタラに関しての投資は見送ります。しかし、なぜ見送りに至ったのか詳細は明らかにしていません。
詳細は不明であっても見送ったのは事実なので、ここから分かるのはヌサンタラに投資することはメリットよりもデメリットが大きいと判断したことです。この点については日本人の一般投資家にとっても参考にできる点かもしれません。
まとめ
今回はインドネシアの首都移転とそれに関連する投資について考察しました。
自然災害や人口過密を避けるために、ジャカルタから別の島のヌサンタラに移転します。しかし、その一方で移転に否定的な声も多いです。 そして、投資もインドネシア政府が呼びかけていますが、こちらも反対の声でどうなるかわかりません。ソフトバンクも投資を見送っています。
この点からもう一度、投資が適切かどうか判断したいですね。ぜひ、参考にしてみてください。