インドネシアでも弁護士は一流の仕事と認められており、所得も高いです。
日本でも弁護士が人気なのと同じでインドネシアでも高所得な職業として知られています。そんな弁護士職ですが、インドネシアの弁護士資格とはどういったものなのでしょうか?日本と違いはあるのでしょうか?
もちろん、国が違うので簡単に比較はできませんがどうなっているのか気になりますよね。 そこで今回はインドネシアの弁護士資格の概要からどうやって取得するのか流れまで解説します。
インドネシアの弁護士
インドネシアで弁護士になるための条件
横浜弁護士会会員の丹羽明子氏によると、インドネシアで弁護士になるためには以下の条件が必要だといいます。
- 大学で法学部を卒業する
- 統一弁護士会の研修を受講
- 統一弁護士会の試験に合格
- 裁判所での宣誓
法学学士を取得して、統一弁護士会の試験に合格して研修を受けます。それから裁判所で宣誓を行えば、弁護士になれます。 ただし、25歳以上という年齢制限もあります。そして、現在は統一弁護士会は解散しており、弁護士会がいくつかに分かれているという情報もあります。
日本の弁護士資格と比較
日本で弁護士になるためには、以下の条件が必要です。
日本 | インドネシア | |
---|---|---|
弁護士になるための条件 |
・法科⼤学院(2年か3年)を卒業 ・司法試験に合格 ・司法修習を1年間受講 |
・大学で法学部を卒業する ・統一弁護士会の研修を受講 ・統一弁護士会の試験に合格 ・裁判所での宣誓 |
日本とインドネシアの弁護士になるための条件を比較してみると、違いがあることがわかります。
インドネシアでは、法学部の大学を出ることが条件となっていますが、日本は法科大学院です。日本の法科大学院は、2年か3年かで分かれており、法学部を出た人は2年、法学部以外の人は3年間と決まっています。
そのため、日本の方が社会で活躍した人が弁護士になりたいと思ったら法科大学院に行けば弁護士の道が近づくので大学に再度通う抵抗はないでしょう。インドネシアは学士、日本は修士と弁護士に求められる学歴の違いがあります。
一方で司法試験に合格して研修を受けなければならないという点では共通しています。ちなみに、日本には日弁連という日本弁護士連合がある一方、インドネシアにも統一弁護士会がありましたが分裂しました。
弁護士の数の比較
2014年に発表された横浜弁護士会会員の丹羽明子氏によると、日本とインドネシアの弁護士の数の違いは以下の通りです。
日本 | インドネシア | |
---|---|---|
人数 | 約33,600人 | 約26,000人 |
人口に占める割合 | 約0.026% | 約0.01% |
仮説として言えるのは、インドネシアの方が弁護士に必要な学歴が学士でありハードルが低いので弁護士が多いのかも知れません。 弁護士の条件が修士号の取得であれば、金銭面や時間面、それから労力の面でも大変です。
ちなみに、弁護士の神尾陽一氏によると、2019年時点でインドネシアの統一弁護士会(PERADI)は分裂しており、各弁護士会が独自に試験を行っております。そのため、試験の難易度に差があることから弁護士が増えている可能性を指摘しています。
インドネシアでは法学部を卒業する就職に強い
インドネシア人がインドネシアの大学の法学部を卒業した場合、弁護士にならなくても高度な業務に対応できます。 具体的には以下のような業務が可能です。
- 企業のトラブル
- 会社法
- 取引のアドバイス
- 金融関係のサポート
訴訟に関しての業務以外ならば幅広く対応できます。
また、厳密には「コンサルタン・フクム」と呼ばれる法律コンサルタントですが、英語の名刺にはLawyerと書かれています。法律事務所で勤務も可能で、会社の法務担当にもなれます。 その一方でインドネシアでは、訴訟を取り扱う弁護士は「プンガチャラ」と呼ばれます。
インドネシアで弁護士資格を取得する流れ
横浜弁護士会会員の丹羽明子氏によると、インドネシアで弁護士資格を取得するためには以下のようなステップを踏みます。
- 法学学士を取得する
- 統一弁護士会の研修を半年受講
- 統一弁護士会の試験に合格
- 統一弁護士会の研修を2年間受講
- 裁判所で宣誓
ただし、統一弁護士会が解散しているので、現在は各々の弁護士会が試験を実施しているようです。 大きな流れとしては法学学士を取得した後に、試験と研修の関門をクリアすることです。 ちなみに、弁護士の資格を維持するためには3年ごとに50ドルほど払う必要があるといいます。
まとめ
今回はインドネシアの弁護士資格についてご紹介しました。
インドネシアの弁護士は、日本に比べて若干ハードルが低く設定されており、Lawyerの名刺とは別の業務を行っている可能性もあります。また、弁護士の数も日本より多いです。
今回ご紹介した情報は少し古い情報になっており、2019年頃には統一弁護士会が解散したことが判明しており情報が交錯しています。
英語の文献などでは、25歳以上で法学学士を持ち、弁護士試験に合格した人がインドネシアの弁護士になれると記述されていました。そのため、若干の違いがあるかもしれませんが、大きな指針は変わりません。
ぜひ、参考にしてみてください。