現地のインドネシア人の所得はまだ日本より低いと言われています。 その一方で豊富な面積や労働力を抱えているので、ポテンシャルがあると言われているのも事実です。

インドネシアの経済発展はこうした人々の労働によって支えられていますが、そんなインドネシアの人々の最低賃金はいくらなのでしょうか?また、このように決めた背景には何があるのでしょうか?

今回は「最新版インドネシアでの最低賃金の状況とその背景」というテーマで解説します。

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インドネシアでの最低賃金

インドネシアの最低賃金は地域ごとによって異なります。最も低いのがバンドンの3,241,930Rpで高いのがブカシ市の4,816,921Rpです。 各地域の州知事令を参考に詳しく地域ごとに一覧にしたのがこちらです。

地域 2022年の最低賃金
ジャカルタ特別州 (DKI Jakarta) 4,452,724Rp (約35,600円)
ブカシ市 (Kota Bekasi) 4,816,921Rp (約38,500円)
ブカシ県 (Kabupaten Bekasi) 4,791,844Rp (約38,300円)
カラワン県 (Karawang Kota) 4,798,312Rp (約38,300円)
ボゴール市 (Kota Bogor) 4,330,250Rp (約34,600円)
ボゴール県 (Karawang Bogor) 4,217,206Rp (約33,700円)
バンドン県 (Karawang Bogor) 3,241,930Rp (約25,900円)
タンゲラン市 (Kota Tangerang) 4,340,254Rp (約34,700円)
タンゲラン県 (Karawang Tangerang) 4,230,793Rp (約33,800%)
スラバヤ市 (Kota Surabaya) 4,375,479Rp (約35,000円)

およそ2万5000円から4万円の間で最低賃金が設定されています。最低賃金はブルーワーカーのような仕事になってきますが、ホワイトカラーの仕事であれば最低賃金を大幅に超える収入になってきます。

もちろん、インドネシアにビジネスで進出して現地のインドネシア人を雇う場合は、これらの最低賃金以上で雇用を行わなければなりません。

最低賃金が及ぼす影響

インドネシアの最低賃金は、2021年は西ジャワ州カラワン県が最も高かったです。カラワン県はジャカルタに隣接はしていませんが、ジャカルタにも近い距離です。しかし、2022年にはジャカルタに隣接するブカシ市がもっとも最低賃金の高い地域になりました。

ジャカルタのベッドタウンのような位置にある両地域ですが、共通点としては日系企業が集中していることです。そのため、これらの地域の最低賃金が上昇するということは、現地に進出している日系企業にとっても大きな打撃を受けることになります。

ちなみに、これまで産業別最低賃金が制定されていましたが2020年をもって撤廃されています。今後はこれらの最低賃金を目安にしながら個別に企業は賃金を制定しなければなりません。

一方で現地の労働者側は、最低賃金の伸び率が低いことに反発している人々もいて抗議活動に繋がっています。ジャカルタなどでは1割程度の伸びを要求しているので、今後企業や首長側と労働者側でやり取りが続くでしょう。

最低賃金を決めた背景

2020年にオムニバス法が制定されてインドネシアで最低賃金を決めるのは雇用主と労働者の交渉です。 具体的には、インフレ率もしくは経済成長率で決めることになります。

しかし、ここに問題があり雇用者側は低い方、労働者側は高い方を求めるため交渉は難航します。

ちなみに2020年まで最低賃金上昇率は以下のような要素で成り立っていました。

  1. 昨年9月から今年9月までの物価上昇率
  2. 昨年7月から12月までの経済成長率
  3. 今年1月から6月までの経済成長率

つまり、①、②、③を全て足し合わせると最低賃金の上昇率になります。 そして、現在の最低賃金に最低賃金上昇率を掛け合わせて最低賃金を足すと来年の最低賃金を算出できます。

2023年の最低賃金はどうなる?

2023年の最低賃金はまだ決まっていませんが、雇用者側と労働者側で折り合いがつきそうにありません。 たとえば、2022年の10月にジャカルタにて2023年の最低賃金を13%上げるデモを行いました。その一方でインドネシア労働省は11月に前年比で10%を超えない範囲にすることを規定しました。

今後もこの流れに注目すべきです。

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まとめ

今回はインドネシアでの最低賃金の状況とその背景について解説しました。 インドネシアは経済発展をしているので、日本では考えられないくらいの速度で賃金が伸びています。その一方で最低賃金の決め方にもよく変更があるというのがわかります。

また、人件費を上げたくない雇用側と、賃金を上昇させたい労働者側では衝突が発生します。 これらに注視しながらインドネシアでの労働を読み解くとよいでしょう。

もちろん、常に決定方法や労使間の取り決めは変化するので、在インドネシア日本国大使館やJETROのホームページで最新情報を必ずチェックするようにしましょう。 ぜひ、参考にしてみてください。