インドネシアと日本の間には租税条約が存在します。 インドネシアでのビジネスは大変魅力的なものですが、きちんと知っておかなければならないことがたくさんあります。

租税条約はそのうちのひとつですが、租税条約が一体何かわからないという人も多いのではないでしょうか?たしかに個人で条約という単語を使う場面はあまりありませんし、慣れていません。

しかし、知っておくと役に立ちます。そこで今回はインドネシアの租税条約についてご紹介します。

ビジネスに役立つインドネシアのファッション事情

インドネシアの租税条約の内容

租税条約って何?

租税条約は2つの主権国家の間で二重課税や脱税を防ぐために結ばれるものです。財務省によると、この条約によって健全な投資や経済交流を促進する狙いがあります。条約をみると、どこの国を源泉所得にするのか、そして課税は何%なのかなどが書かれています。

たとえば、何もしていなければ、ある国とある国を跨いでビジネスを行っていた場合、どちらの国でも課税されることになります。 一方である国で行ったビジネスで得た所得を違う国で隠して所得を得ていたら納税を逃れることもできます。そうしたことがないように制定されたのが租税条約です。

そして、大事なことですが租税条約は国内法より力を持ちます。つまり、ある国で納税額が定められていても、租税条約では納税額がもっと安くなるならばそちらが適応されます。

日本とインドネシアの租税条約

日本とインドネシアには日尼租税条約が結ばれています。JETROによると、内容は以下のようになっています。

  • 利子送金課税:10%
  • 配当金送金課税 出資比率25%以上:10%、出資比率25%未満:15%
  • ロイヤルティー送金課税:10%

要するに、日尼租税条約が適用されると、インドネシア国内の税法の課税率に比べて安くなります。具体的には、インドネシアに住んでいない非居住者への配当は20%ですが、租税条約があれば、出資比率25%以上は10%、出資比率25%未満の場合は15になります。

租税条約が適用される具体例

デロイトトーマツによると、たとえば、日本に親会社があってインドネシアに子会社があって親会社が子会社に対して資本金の貸付を行っているとします。 インドネシアの国内法に基づくと、インドネシアの法人から日本法人への配当の支払い時には20%ほど源泉税が課税されます。

一方で日尼租税条約に基づくと、源泉税率は10%もしくは15%になります。 同様に子会社から親会社に利子を払う場合、インドネシアの国内法に基づいて20%が源泉税として課税されますが、租税条約が適用されると10%ほどまで下がります。

租税条約が役に立つケース

インドネシアと日本の租税条約が役に立つのは以下のような場合です。

  • 日本の親会社がインドネシアに子会社を持つ場合
  • インドネシアの企業とライセンス契約を行う場合

先ほどでもご紹介したように、インドネシアの子会社が日本の親会社に配当や利子を払う場合の課税率が下がります。 また、ライセンス契約を行うとインドネシアの会社が日本の企業にライセンスの使用料金を払うことになります。この際にロイヤリティの課税が低くなります。

インドネシアの租税条約を適用する方法

インドネシアの租税条約を適用するためには、インドネシアの当局に対して日本居住者であるという証明をしなければなりません。自動的に条約が適用されることはないのです。

また、当然ながらインドネシアに住んでいないという証明ができなければ、インドネシア国内の決まり事が適用されます。 実際に居住証明をインドネシア当局に対して行う場合、所定のフォーマットが存在します。まずは所轄の税務署で居住者証明書の請求を行います。郵送もしくは来署のどちらかを選べます。

その際は交付請求書を提出しましょう。ちなみに来署する場合は、本人確認が可能な書類であるマイナンバーカードや運転免許証、それからパスポートなどが必要です。 そして、インドネシアに提出する場合、証明期間に将来にわたる期間を含むことがあります。

納税者本人が宣誓を行う必要もあるので、こちらも宣誓書に明記して交付請求をしなければなりません。 これらの詳しい手順に関しては日本の国税庁のホームページに書かれているので、こちらで確認を行って間違えないようにしましょう。

また、電話窓口もあってこちらでも相談を行ってもらえるため、活用すると役立ちます。

インドネシアビジネスのメリット5選

まとめ

今回はインドネシアの租税条約についてご紹介しました。

租税条約があれば節税できる可能性があります。インドネシアと日本で二重課税とならず、さらにはインドネシア国内の決まりより納税額が安くなるかもしれません。そのため、ビジネスを行う上でこうした制度はしっかりと活用すべきでしょう。

また、自動で適用されるわけではなく、手続きが必要となってくるのでこちらも忘れずに申請を行いましょう。国税庁のホームページを参考に行えばこなせるでしょう。 ぜひ、参考にしてみてください。