「これこそがインドネシアだ」

というものは何ですか、と聞かれたら、少しの間考えてみた後、私は『礼儀・作法』だと答えるでしょう。

どうしてそう答えるのかと言うと、礼儀・作法こそが、インドネシアの人々の生きる道に意義を与えているのではないか、と思うからです。礼儀・作法はインドネシアの人々を特徴付けていると言え、他の国の人々の特徴と異なります。

インドネシアに古くから生きる『礼儀・作法』の文化

礼儀・作法または尊敬語というのは、インドネシア社会の1つの特徴です。古くから、インドネシアは、その社交性、礼儀、習慣を重んじる人々として知られています。

けれども、今改めてインドネシアの人々を見直してみると、皮肉な事に、子供たちや若者の間では、この礼儀・作法が揺らいできていることがわかり、さらにはその両親の間でも同じ事が言えるのです。

雑誌、テレビ、インターネットではしょっちゅう、礼儀・作法に反する人々が活躍していますし、『これが現代のスタイルだ』という理由で、それが当たり前だと捉えられています。

現代のスタイル、という一言だけで、礼儀・作法を忘れてしまっても良いのでしょうか。私はまだ幼い時に、自分よりも年上の人を呼ぶ時には、敬称をつけて呼ぶように教わりました。

しかし現在、私が道を歩いていて子供たちに出会うと若者言葉を使っていて、さらに子供たちは自分の両親に対しても、そのまま若者言葉を使うことが決して珍しくありません。

繰り返しになりますが、これが現代の流れだとすると、他人を尊敬する気持ちや、私たちが両親から教わった他人を気遣う礼儀正しさは一体どこに行ってしまうのでしょうか。

礼儀・作法を持った人々は、あと10年、20年後には、皆いなくなってしまうのでしょうか。

電話で相手と会話を行う場合にも、礼儀・作法を理解しておかなければなりません。何時に電話をしたら相手に失礼にならないのか、誰に対して電話をするのか、どの位長い時間電話をしていいのか。

「おはようございます」「こんにちは」などの挨拶を電話でも行っているのかどうか、実際に私たちが友達、家族や親戚と電話で話をする際にも、こういった挨拶をする機会は、めったになくなっているのではないでしょうか。

少し見方を変えてみると、メディアは時代と共に発達しています。しかし、それも一部の人が行っているやり方の流れですし、他の国の人々に従って生活スタイルを変えたりすることは、インドネシアの人々の文化をほったらかしにすることなのです。

言ってしまえば、ポルノグラフィ、フリーセックス、ファッション、音楽など一部の人々を魅了するものは、自分の存在性をアピールするだけで、流行に遅れている、と言われない様にするための逃げ口上であり、こういった人々がやがては、インドネシアの文化を失くしてしまうのです。

肌が露出した服を着ることや、結婚前の妊娠、さらにはインドネシアの人々のモラルを壊す恐れがある、写真だけでなくビデオまでもが当たり前だと捉えられてしまうのです。

それは間違いなく、インドネシアの人々が持つ最低限の礼儀に反するものではないでしょうか。

当たり前だとして捉えられる行動は、本当に当たり前にしなくてはいけないものなのか、それとも忘れてしまっても良いものなのかを、もう1度見直さなければなりません。

現代の時代の流れの全てが、私たちにとって相応しいとは限りませんので、私たちはよく考えて行動をしなければいけないのです。

そして決して近代化が良くないと言っている訳ではありませんが、インドネシアの人々が礼儀を大切にする気持ちをあまりにも失くしているので、私はそれを憂いています。

現実をしっかりと見つめ、私たちの周りをよく見回して、インドネシアの人々から、その文化が忘れられていないか、礼儀・作法はまだ残っているのかを見つめてみましょう。

子供や若者の皆さんはもう一度、自分が普段の生活の中で礼儀・作法ができているか反省してみましょう。そして両親は、子供たちに礼儀・作法を正しく教えてあげているかどうかを振り返ってみましょう。

落ち着いてじっくり考えてみましょう。私たちが生きていくうえで、礼儀というのものはその単なる一部だけだと感じるかもしれませんが、実はこの礼儀こそが私たちの人生をより充実したものに変えるのです。もう一度、礼儀・作法の文化を始めましょう。

私たちの子供や孫に伝えていくことで、インドネシアの人々の特徴はどんなに時代が経過しても、失われることはないでしょう。

『礼儀・作法は、失ってはならない文化』これが人生の中で、礼儀・作法を常に心がけるための、指針なのです。

ビジネスのエチケットについて

ビジネスの世界ではエチケットというものが存在します。会社、社会、個人といったビジネスの中で関わってきます。ビジネスのエチケットを理解しておけば、ビジネスパートナーとの協力ももっと上手く進むようになるでしょう。

ということで、インドネシアでのビジネスのエチケットについて、下記に例をあげてご紹介させて頂きます。

ミーティング時には、名前で呼ぶ

会社でのミーティング時には、相手の名前を呼んであげることで、一見当たり前のようですが、特にお互いが最初のミーティングの時には相手に与える印象がグッとよくなります。

会社の規則に従う

会社の規則に従うこと。お互いに助け合う事はいいことですが、あくまでも会社内の規定に従う形で行いましょう。

相手に感謝の意思を伝える

一緒に協力をして目標を達成したいのであれば、いつでも「協力してくれてありがとうございます」、「招待して頂きありがとうございます」というように、きちんとお礼を言うことを心がけましょう。

お互いの立場を尊重する

ご存知の通りインドネシアと言う国は、世代、宗教、人種が異なる、様々な人々から成り立っているので、ビジネスのミーティング時に、お互いを尊重しあうと言うことは非常に重要なのです。

いつでも交渉をしましょう

お互いの協力体制を最大限に発揮できるように、通常は契約の同意前に、両者の間で交渉が行われ、お互いの勘違い、思い違いを防ぐためにも事前にきちんと交渉を行いましょう。

協力するために制約を掲げる

よい誓約を掲げる会社は、良いパートナーの会社と協力関係を結ぶ事ができるものです。

会社の評判を守る

見落としがちですが、毎日の生活の中で、ビジネスのエチケットをきちんと理解して会社の評判を守ることは、あなた自身の評判を守ることでもありますし、義務であるとも言えます。

同僚や部下を叱るときには人前を避ける

ビジネスには失敗もつきものです。会社の同僚や部下の失敗に対して、あなたが叱らなければならない場面も当然あるかと思います。その際には、人前で特に大声を上げて相手を叱る事は絶対に避けましょう。

これはインドネシア独特の文化の1つで、大勢の前でどなられたり叱られる事は、相手の自尊心を傷つけてしまうだけで、ビジネスのプラスには決してならないことなので注意しましょう。

ビジネスに役立つ インドネシア独特のマナー講座【まとめ】

もちろん職種や立場にもよって一概には言えませんが、インドネシアの人々は基本的には、あまり隔意なく接してくれますし、ビジネスの場面でも皆すぐに冗談を言ったりしてその場の雰囲気を和ませ、優しく接してくれます。

ただし、お役所や警察関係の場合は、(当然ですが)若干、ピリピリとした雰囲気を醸し出す人も少なくありませんし、短パンやサンダルのようなラフな格好で訪れると怒られる場合もあります。

またもともと日本に対して友好的な人々が多くいるので、ビジネスの場面で、特に何かをお願いしないといけない交渉時には、喜ばれそうな日本のお土産などを持参すると良いでしょう。