インドネシアは熱帯雨林気候とサバンナ気候に属しており、日本と違って四季がなく1年のほとんどが高温多湿です。

年間を通じて蒸し暑く、気温は23度から33度に変化します。22度未満になることや34度を超えることはめったにありません。

このことから、インドネシアでは1年中「夏服」で過ごすことができます

ただし、国民の9割がイスラム教を信仰していることもあり、男女共に過度な体の露出は避ける傾向にあります。

インドネシアの普段着

男性の場合は、基本的に薄手のシャツ・半袖のティーシャツに短パン・長ズボン、足元はサンダル・スニーカーと全身ラフな装いです。

一部の富裕層の中には、ファッションブランドにお金を使う方もいますが、インドネシアではかなり目立ちます。

女性の場合は、「美しい部分は人に見せぬように」というイスラム教の聖典コーランの教えに基づき、公の場所では頭髪や首を隠す布「ヒジャブ」を被る女性がよく見かけられます

ヒジャブは、アラビア語で「覆うもの」を意味しています。女性の髪や首など美しい部分を守るためにヒジャブを被ります。ヒジャブを被るか被らないかは、生まれた家柄や地域によって違うものの、12歳頃から被り始めることが一般的です。

色やデザイン、形状に決まりはないので、自分好みのものを被ります。

近年インドネシアでは、ヒジャブをおしゃれとして楽しむ女性が急増しており、人それぞれの個性を表す流行りの巻き方や柄があります。

ビジネスの場合

職場にもよりますが、男性の場合「クールビズ」のスタイルが基本となっています。

ノーネクタイにノージャケット、半袖シャツ。ズボンはスラックスで足元は革靴というスタイルです。

その中でも、ビジネスシーンで最も着用されているのが「バティック」です。

バティックとは、インドネシアのろうけつ染め布地の特産品で、日本では更紗の一種とされています。沖縄のかりゆしに近いイメージです。

バティックは、インドネシアで国宝になっており、日本の着物のように愛国心をあらわすファッションの一つです。

職場や結婚式、セレモニーなど、フォーマルな場所にはバティックの着用が一般的になりました。特に、長袖のバティックは、日本でいうネクタイ着用と同じくらい正装です。

日本のビジネスでは派手な衣服は避けられる傾向にあり、グレーやネイビーなどのダークカラーのビジネススーツが一般的です。しかし、インドネシアでは、ビジネスシーンにおいても原色や派手な色が好まれます。

インドネシアの金曜日は、バティックデーになっており、バティックを着て会社や学校に行きます。2015年に、公務員に対して金曜日に地域の伝統衣装やバティックの着用が義務付けられたのをきっかけに、民間企業にも波及し、金曜日にバティックの着用を指定する企業が増えてきています。

女性の場合は、男性と違いバティックの着用は一般的ではなく、オフィスカジュアルであれば問題なしととらえられている企業がほとんどです。

襟付きのブラウスか丸首のインナー等の上に、ジャケットやカーディガンを羽織ることが多いです。

以前では、イスラム教徒が大半を占める国柄として、女性の肌が露出しないように膝丈以上のスカートや二の腕が露出しないシャツが好まれていました。また、女性のパンツスーツは好まれなかったそうですが、現在ではあまり関係がないようです。

靴は、ややヒールのあるパンプス等を履くのが一般的です。

インドネシアの伝統衣装

インドネシアには、日常生活や式典などで身に着ける伝統民族衣装があります。

サロン」と呼ばれるロングスカート状の腰布の一種で、インドネシアでは普段着としても使われています。男女共に着用しており、風通しもよく涼しいので温暖なインドネシアにぴったりの衣装です。

観光客向けのサービス業など、サロンを制服にしている会社も多数あります。

短く腰に巻いたり、型からかけてアクセントにしてみたりと、着こなし方は自由で個性が現れます。

また、女性用の民族衣装に「クバヤ」があります。クバヤは、インドネシアの女性の正装です。

クバヤを着用する際は、腹巻き布の「カイン」と帯の「スレンダン」を合わせます。

日本の着物を着る感覚と同じで、生地やデザインなどは個人のセンスで選びます。

インドネシアの玄関口であるガルーダインドネシア航空の制服にクバヤが使われるほど伝統的な衣装と言えるでしょう。

まとめ

インドネシアのファッションは、普段着からビジネス、結婚式、気候、宗教、などさまざまなシーンによって使い分けられています。

特に、伝統衣装は日本の着物と同じように、今も大事に受け継がれているのがうかがえます。

ビジネスやフォーマルなシーンにおいてもカラフルな物が多く、温暖な気候のお国柄ならではの陽気さにピッタリなファッションと言えそうです。