インドネシアは石油の原産国として有名です。

石油が採れるので資源国としての地位を獲得して、自国にエネルギーを安定供給できたり、他国にエネルギーを輸出したりして経済を潤せます。 その一方で、石油そのものの在り方が見直されており、インドネシアも例外ではありません。石油産業が経済発展に貢献している国は影響を受けがちです。

そこで今回は、石油とは何か、そして石油原産国としてのインドネシアの立ち位置について詳しく解説します。

2022年現在インドネシア市場で活発な事業Top10

そもそも石油は何なのか

石油は。原油や天然のガソリンといった天然資源の総称で、燃えることが条件になっています。油田から産出されて加工されていないものが原油です。

石油の歴史

石油が使われ始めたのは、紀元前だと言われています。たとえば、原油をもとにして作られるのがアスファルトですが、このアスファルトはメソポタミアやエジブト文明でも使用されていました。

また、インドネシアも世界で最古の原油生産地として知られています。古くから住民が催事の際に火を燃やす燃料として、または船の防水剤として原油が使われていました。その後、近代的な石油開発は1885年にオランダ人が油田を発見してからになります。

石油原産国としてのインドネシアの立ち位置

産出国ランキングから見たインドネシアの立ち位置

BPのデータを参考にした2021年の年間の石油産出国ランキングでは、インドネシアは世界24位に位置しています。

トップ3はアメリカ、ロシア、サウジアラビアといった石油で有名な国が続きます。 インドネシアは33,773,000トンの産出量であり、アメリカの1/20程度です。

また、インドネシアと同じくらいの産出量の国としては世界第23位のインドで33,998,000トン、世界第25位のベネズエラで33,408,000トンといった国々があります。

埋蔵量ランキングから見たインドネシアの立ち位置

「2013年 ワールドファクトブック(CIA)」の石油埋蔵量ランキングを見てみると、インドネシアは第27位にランクインしており、埋蔵量は4,030,000,000バレルだといいます。1バレルは0.135トンなので、5,44,050,000トンということになります。

こちらのランキングで上位にランキングしているのは、第1位がベネズエラ・ボリバル共和国で297,600,000,000バレル、第2位がサウジアラビアで267,900,000,000バレル、第3位がカナダで173,100,000,000バレルとかなり大きな埋蔵量があることがわかります。

インドネシアの石油は早くなくなる?

インドネシアの石油は早くなくなると言われています。

その理由はインドネシアが石油生産国であるだけではなく、石油を消費する国だからです。

特に経済発展に加えて人口が増えているので石油の消費量も多くなっています。 Mordor Inteligenceによると、2020年のインドネシア国内の石油消費量は1日あたり約1,230,000バレルです。これに365をかけて年間の石油消費量を計算すると、4,48,950,000バレルになります。

 

しかし、アメリカや中国はインドネシアの10倍以上の石油を1日に使用しているので、決して世界的に見れば多いわけではありません。消費国のトップ10にも入っていません。 それでもインドネシアには危機感があります。

2022年に国家エネルギー審議会は、インドネシアの石油埋蔵量は約4,200,000,000バレルと発表しています。 これは確認埋蔵量と潜在埋蔵量を合わせた数字であり、このままのペースであれば9年後には枯渇するとも言っています。

ちなみに、2019年の国際エネルギー機関のデータによると、インドネシアのエネルギー自給率は世界第4位の195.2%なので、エネルギー全体で見れば安心です。

インドネシアはどの国に原油を輸出しているのか

OECのデータによると、2020年にインドネシアが原油を輸出した国のランキングは以下の通りです。

  • 第1位:タイ ($560M)
  • 第2位:シンガポール ($198M)
  • 第3位:中国 ($188M)
  • 第4位:マレーシア ($176M)
  • 第5位:インド($170M)

単位は全て金額です。 一方、少し古いデータですが、佐藤百合「インドネシアの石油産業-産油国から消費国へ、国家独占から市場競争へ-によると、2002年から2007年にかけてインドネシアが原油を輸出した相手国は日本、韓国、中国、オーストラリア、アメリカがトップ5でした。

こちらを比較すると、15年で大きく変わっていることがわかりますね。

インドネシアでのビジネスの難しさと撤退の線引きについて

まとめ

今回は石油とは何か説明した上で、インドネシアの石油原産国としての立ち位置を解説しました。

石油は古くから使われており、インドネシアでも人々の暮らしで使用されてきました。 また、現代ではインドネシアは石油産出国と言われていますが世界トップクラスの産出国なわけではありません。埋蔵量を考えると少し注意が必要です。

同時にインドネシアは石油の消費国なので、ここも懸念点のひとつです。 そして、石油の輸出先も過去15年間で多様化しています。 ぜひ、参考にしてみてください。